実践事例
株式会社BowL様Case Studies

チーム内のコミュニケーションを改善することで
「たとえメンタル不調になっても大丈夫な組織」を増やしたい
株式会社BowL様では、沖縄県内のクライアント組織に対して、メンタル不調者の復職支援(リワークプログラム)を中心に事業を展開しています。今回は自社サービスの一環としてMonicaを活用していただいている皆様にお話を伺いました。
チーム・部署単位での支援の必要性を実感
メンタルヘルスの包括支援における課題感とは
そもそも自社のサービスとしてMonicaを使ってみようとした経緯はどのようなものだったのでしょうか?
BowLさん(以下「B」):元々、当社は中島さん(モニカ代表)とお付き合いがありまして、Monicaというチームのコミュニケーションを整えるツールを作ったという話を聞いていました。
ちょうどその頃、とあるクライアントとメンタルヘルスの包括支援契約を結ぶことになっていて、そこに活用できそう、と感じたのがきっかけです。
そのクライアントでは、メンタルヘルス不調に至る職員をどうやってサポートしたらいいのか?ということが課題になっていました。専門職はいないし、総務人事だけでは回らないという状況で。そこで当社としては、まずは従業員の個別面談から始めましょう、という話になっていました。
もっとも、そうやって個別面談でケアできる面がある一方で、クライアントは皆さんチームとして仕事をしている人達なので、個別ではフォローできない側面もあるなと感じていて。チーム・部署などの単位でどのような支援ができるだろうか?と考えていたところに、Monicaはコミュニケーションを整えるカードゲーム型のツールということで、導入もしやすいし、ピッタリなのではないかと思いました。

通常、メンタルヘルスの包括支援というのはどのようなお仕事なのですか?
B:メンタルヘルスの専門家として、組織におけるメンタルヘルスケアの支援をする仕事です。例えば、小規模の組織だと産業医や保健師などの専任スタッフが常駐していない、もしくは不在の場合も多いので、総務人事部の人事担当者が他の業務と兼業でメンタルヘルス対策を見ていることが多いです。そのため、人事担当者と連携しながら、従業員の個別相談窓口を設置し、相談員として従業員個人にアプローチすることから始めることがよくあります。
一方、大規模な組織では人事担当者や衛生管理者に加えて産業医がいますので、ストレスチェックの結果を見ながら彼らにアドバイスをしたり、管理監督者向けの集合研修を実施したりと、組織側から支援することから始めることが多いです。
クライアントはどういった業種の組織が多いのですか?
B:どちらかというと公的機関が多いです。そもそも当社はリワークプログラム(復職支援)からスタートしている会社でして、そういったプログラムを利用している方をみると、やはり公務員の方や教職員の方が多いですね。
それだけ大変な状況で働いている方々がいるということですね。
B:シビアな状況の中で仕事をしている方が多いと感じています。頑張って勉強して、いざ公務員になったはいいものの、そこで想像していた仕事と現実とのギャップを感じている、という方が少なからずいらっしゃいます。とにかく忙しい、定時でなんか帰れない。住民の期待に応えるために、自分を削るような仕事を求められることもある。そうした中で、実はそこまでやりたい仕事じゃなかったんじゃないかと悩んだりすることも多い。それでも地域に貢献したいという思いを持って仕事をしている方がたくさんいる中で、そうしたギャップをどう埋めていけるか。そこが当社が支援していく上でのテーマであると感じています。
そんな中、個別面談、組織支援に加えて、部署やチーム内のコミュニケーション改善にアプローチしたのはどういった背景からなのですか。
これはストレスチェックの集団分析結果の利活用という問題意識からです。ストレスチェックは法令で義務化されていることもあり毎年実施しているものの、なかなかその活用ができていないという組織は民間も含めて多いです。結果の扱い方がわからないし、そもそも結果も特定の人しか知らないまま、ということもあります。その中で、高ストレスの部署やチームになってしまっているのは、業務の量や質の問題だけではなくて、やはりメンバー間の関係性に原因があることが多い。その点で、まず関係の質にアプローチできるMonicaというのは、ストレスチェックの集団分析との相性が良いと感じています。

Monicaというツールを使って
対人不安を取り除くための勇気を振り絞る
具体的に、クライアントにはどのようにMonicaを提案されてきたのでしょうか。
とにかくまずは担当者に体験してもらうことですね。とある組織で、個別面談のみでの支援に限界を感じていたところだったのですが、そんな中で、集団にアプローチできるツールとしてMonicaを見せて、まずは担当者を中心に体験会を開きました。そこで「これはいいね」という反応をいただいて。チームワークを生み出すためのコミュニケーション作りという課題感は多くの組織で共感していただけますので、そこで体験していただく。どんなことでもそうですが、まずは担当者をしっかりグリップするということを大切にしています。
Monicaのファシリテーションをしてみて、現場の皆さんの反応はいかがでしょうか。
B:最初のセッションの際は、総じて皆さん凄く構えているというか、緊張していますね(笑)。 Monicaのコンセプトであるとか、職場で実施する趣旨は事前に丁寧に説明していますが、こればっかりはどこの会社さんでやっても共通しています。初回、2回めくらいまでかな。主人公になる人は緊張しているし、どんな質問をされるんだろう?と構えています。ファシリテーターとしても、そうですよねー、最初は緊張しますよね、というところから入っていくのがお決まりになっています。
当社がお客様のところでファシリテーションする時も似たような感じですので、よくわかります(笑)。
B:はい。でも2回、3回と重ねていけば、きっと楽しい時間と思っていただける確信はあるので、私自身はそういう雰囲気に飲まれることなく進めることができています。初回のセッションを人事担当者の人が見て、緊張しているようだけど大丈夫なの?なんて心配されることもあるのですが(笑)、「大丈夫です、最初のセッションはそんなものですよ」とお答えして進めています。
自分のことを話す楽しさであるとか、話を聞いてもらう心地よさであるとか、またメンバーのこれまで知らなかった一面を聞いて距離感が掴めるとか、このチームならいろんな話をしても大丈夫、と思えるようになるには、ある程度回数を重ねる必要があるんですよね。こうして心理的安全の土台はつくられていくのだろうなと思います。
私が担当していたクライアントの従業員の方のエピソードなのですが、最終回のセッションが終わって、私に話しかけてくれた方がいたんです。なんでもその方には、数年間ずっと会話ができていなかった同僚の方がいたそうでして。それでMonicaでコミュニケーションをスタートしていきましょう、となったときに、その同僚の方とどう話をしたら良いのだろう?と怖くて心配だったんだというんですね。でも実際にMonicaをプレイしていくなかで、その同僚の方が自分の話に相槌を打ってくれたり、フィードバックをくれたりして、そういうやり取りができたことに対して、すごく安心できたんだと言ってくれたんです。こういう機会がなかったら、この先ずっとその同僚の方と会話ができないままだったと。
そういった職場での対人不安を解消するお手伝いができたのは嬉しいですね。
B:そうですね。しかし反面、普段の仕事の中で気持ちを押し殺している人がいかに多いのか、という点では少し心配にもなります。初回のセッションでは皆さん構えていることが多いというのは、対人不安の中で勇気を振り絞って話を切り出そうとするからこその緊張感なのでしょうね。Monicaというツールを使って、対人不安を取り除くための勇気を振り絞る、そこから場が動いていくというのを実感しています。

リワークから復帰する方を
しっかり受け入れることができる組織を作る
BowLさんの中で、Monicaを使ったサービスの今後の展望はどのようにお考えですか。
B:リワークプログラムから復帰する方がいるときに、その方を受け入れる側の職場でMonicaのコミュニケーションが当たり前にできるようになれば、それこそ良い循環が生まれると思っています。復帰する人はできることもあれば、まだそこまでは難しいということもある中で、不安を持って復職します。一方で、受け入れる職場の方も、どうサポートすればいいかがわからなくて不安を感じています。今現在も管理職研修等がありますが、より具体的なサポートツールとしてMonicaを提案できれば、さらに広げることができると思っています。
本当の意味でのリワークというのは、従業員のメンタル不調者をケアする、ということだけではなくて、リワークプログラムから復帰する方をしっかり受け入れることができる組織を作ることが大切です。そんな組織を世の中に増やしていくことで「たとえ働く人がメンタル不調になっても大丈夫な社会」を創っていきたいですね。
とても共感できます。真のリワークの実現のためには、個人・個社に限定することなく、社会という全体像で捉える必要があるということですね。
そうですね。あとは、民間の企業さま向けにももっと提案していきたいです。たとえば障害者雇用のサポートなどは相性が良さそうですね。働く側は障害者雇用だからということで過剰に遠慮してしまっていたりして、自分からこうして欲しい、などとリクエストしにくい状況がよくあります。その一方で、受け入れ側もどのようにコミュニケーションを取ったらいいかがわからなくて不安や不満を抱えていたりもしています。これもリワークと同じように、障害者雇用の現場サポートツールとしてMonicaを提案していけると良いなと思います。

確かにそういったニーズはありそうですね。それではあえて課題をあげるとするとどのようなことがありますか。
アフターフォローの部分でしょうか。Monicaのコミュニケーションは2か月程度の期間を区切って提供することが多いのですが、実施直後は「やれてよかった!コミュニケーションがとれるようになった!」というような反応が返ってきますし、モニカさんから提供してもらっている専用アンケートでもMonicaセッションの成果については把握できています。一方、その後それが現場でどのような変化を生み、持続しているか、というところまでは十分に追いかけることができていません。そこから3か月後、半年後の現場の状況というのは、意識して担当者に働きかけていかないと掴めないところがありますので。
次の支援のためにも、見える化する接点を中長期でつくることが大事ということですね。
そうですね。研修もそうですよね。その場では勉強になった、楽しかった、となるけど、そのあとの持続性が課題になりがちですので。それはもったいないことですよね。
ですので、今担当しているクライアントの人事担当者とは、2、3ヶ月に1回でいいから、「Monicaをやってからの職場はどうですか?」という座談会のような試みができると良いよね、という話をしています。こうした事例を今後は増やしていきたいですね。
ありがとうございます。最後になりますが、これからMonicaを使ったコミュニケーションをオススメするとしたら、どんな組織だと思いますか?
一見コミュニケーションに大きな問題が出ていないようでも、「そもそも、実は」といった本当は必要な良い話ができてない組織のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。BowLでさえも、本当にそういう対話ってどれくらいできてるんだろう、と思うことは正直ありますし。ですので、この話を聞いて「もしかしたら?」と思った組織の方にはオススメです。
また、コミュニケーションが課題になっているという組織はもちろんなのですが、勢いのあるベンチャー企業のような、メンバーそれぞれの力がもっと発揮できるといいよね!とポジティブな面に目が向いているような組織で使ってみると、実はより効果が出るのではないかと思います。
あとはやはり当社のように、リワーク支援の会社がお客様にサービスとして提供するのには良いツールだと思いますね。
本日はありがとうございました!
企業情報
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- 社名
- 株式会社BowL
- 事業内容
- うつ病向けリワーク支援事業、職場のメンタルヘルス事業、学校のメンタルヘルス支援事業
- 設立
- 2013年1月23日
- 資本金
- 200万円
- 所在地
- 〒901-2132沖縄県浦添市伊祖1-5-2
- 連絡先
- 098-879-0167(受付時間:平日9:30〜17:00)
- 代表者
- 代表取締役CEO 荷川取佳樹
- 公式サイト
- https://www.bowl.co.jp/